CREDOR 9561-6040 ベルト調整/錆びたピン抜き

2017.10.18お預かりのCREDORで先日アップしたところです。
先日分では「電池交換のみ(洗浄なし)1.550円コース」とさせて頂きます。
という事で終わりでしたが、出来れば洗浄まで。
ついでのベルト調整まで御希望です。

お連絡ありがとうございます。
さて、御希望の作業に入るには
洗浄だけではなくコマ1つ1つネジを外していきますから
1.000円〜2.000円追加料金が掛かります。
もちろんですが、作業の結果「結局ベルト調整が出来ない」場合でも請求する事になります。

また何度も洗浄しますから、外観は若干劣化します。
またムーブメント取り出しで、不動になる可能性もあります。
そして、そこまでしても「90%はピンは抜けない作業」である事を承知で行います。
よって「電池交換のみ(洗浄なし)1.550円コース」で留め置く。
という判断でしたが。

費用は掛かってリスクだけ背負って頂く作業になることご了解ください。

最低限これくらいは承知頂かないと出来ない作業です。また、この作業はお客様には想像外の作業で。結果だけ見たらキズが増えたりしますから外観が悪くなって、費用を請求されて踏んだり蹴ったり。そう見えて当然の作業ですから本来は受けません。

丁度、台風が来てシャッターを半分、下ろしており開店休業状態だから出来た作業でもあります。

さて、先ずはピンのキャップになる部分を全て外します。

この様に錆びており、突いたくらいでは抜けません。先ずはブレスごとの洗浄。そこからです。

裏蓋を開けます。開けにくい状態になっておりましたが洗浄したら直ると思います。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。文字盤のホコリを除去します。
さて、この「ムーブメント取り出し状態が何日に及ぶか?」。
結局、この時計だけに掛かって3日となりました。

ケースの内側もチェックして。

若干サビが残っておりますが、この状態から想像するのはかなりのサビであったかと。

ブレストケースだけにして洗浄します。

ピンのキャップにあたるパーツをネジを外して取り外し、洗浄します。
パーツの中央の穴にネジが入り。穴の左右にある凹みにピンが収まる構造です。

ベルト調整可能部分の全てのキャップを外した状態。

全てのピンが工具で突いたくらいでは、動きません。サビで固着状態です。
ブレスはステンレス無垢でもピンは違いますから錆びるのは仕方が無い。

出来ればブレスは外して洗浄を行いたいですがバネ棒も、固着して外せません。

ケースごと3回、洗浄した後の状態です。

両面とも見えるサビは落ちましたが、やはりピンは工具で突いたくらいでは出てきません。

12時側のブレスの端、バックル側のコマ1つ。叩いてピンが抜けました。

端のコマが外れても作業が、行いやすくなることは無い。

洗浄器槽に55-6を3センチほど張ります。そこへブレスを漬けて洗浄します。
1時間ごとに上げて洗剤の層に入替て洗浄します。

1日はこの作業が延々と続きますがピンは抜けません。

二日目、同じ作業の繰り返しで夜になって。

また一番端のコマのピンが抜けました。

出来ればケースのみを切り離したいですが、バックル側のピンが抜けても叶わない。

そして3日目の午後。やっとケース側のピンが抜けました。

反対側はまだ外れませんから、結局はケースごと洗浄します。

キャップ部分とそのネジは洗浄して綺麗になりました。

1時間ごとにブレスを洗浄層から引き上げ、手袋を付けて
コマを揉みほぐす様に何度も折り曲げます。3日目ですがまだしなやかさは出ません。

3日目の夕方、やっとしなやかさが出て来たか?と思えばやっと2本抜けました。

反対側も2本抜けました。我ながら感動物であります。

これでとりあえず「3コマ」は外せます。目標は4コマ。
ベストは全コマが分解出来る状態ですが、それには同じ作業を一週間は行う必要があるでしょう。

ただケースはやっと分離が出来ました、あまり洗浄ばかりすれば表面が劣化します。

丁度、これ以上洗浄層に漬けたままでは限界か?と思った頃に分離できました。

ブレスだけになれば作業のペースも進みます。ケースが付いている状態では
洗い流しにさえ時間が掛かるうえに、キズが付かないように作業が丁寧になる分
作業スピードは上がりませんから。

これは5.56を入れた洗浄層ですが透明な液体が濁って、サビで茶色くなります。
これを毎日、入れ替えて作業しますから、ビール缶サイズの5-56が半分無くなりました。

何とか抜けないかピンを叩いた為にピンが頭が潰れた物もあります。

キャップが収まりにくい物もありますが、ベルト調整出来ればヨシとします。
3日も同じ作業の繰り返しですから飽きてきます。

全コマは無理でしたが「2コマ」「2コマ」「1コマ」で「計/5コマ」外せました。
御希望は16.5cmくらいで、元が19cm。
最低3コマと、微調整部分として1コマ。外したかったので丁度よい按配。

バックルも洗浄して綺麗になりました。

この状態でゲージに入れて見れば「16cm」ですから少しキツイ目。
先の5コマのうちの1コマを足します。

 

再度、洗浄し直して綺麗にします。

外したパーツを戻していき電池を入れて動作確認。無事に動き出しました!

16.5cmくらいですからピッタシでしょう。問題は「現在使用中の時計が16.8cmで緩いめ・・・」という事ですが。現在使用中の時計を、どう計測されたか分からない」事です。

結局、4コマ外して電池交換&洗浄3.100円コース+ベルト調整2.000円プラスです。
この作業で、ベルト調整出来たから良いものの、最悪はベルト調整出来ないまま請求する事になる、紙一重の作業。一か八かのご依頼でした。3日も掛かると達成感さえありますね。

 

 

「TAG HEUERのページ」では殆どでパッキン交換が行われておりますが。
TAG HEUERのパッキンが劣化している事が多いのでは無く。
「交換用のパッキンが入手出来る」という事です。
更に普通のOリング形状ですから既製品でも合わせる事が可能。
他の電池交換も必ずパッキン交換が必要ですが、入手出来無い為に交換出来ません。
残念ながら殆どの電池交換では元のパッキンを再利用となります。
また「竜頭パッキン」の交換も不可ですから防水機能にはご注意ください。

BRANDJAPANCASIOG-SHOCKその他不動修理受付不可