合っていない!
「2005年4月7日」
50代くらいのビジネスマン風の男性が来店されます。
「すみません、この時計見せてくれる」
「ハイ、いっらっしゃいませ!こちらの時計ですね」と、差し出します。
「これは”ソーラー”って書いてあるけど、どういう意味?」
「つまり”光”で動きますから電池交換が要らない時計ですね」
「ほぉ〜、それは便利だね。ではそれにしましょう」即決ですね、こういった方も珍しい。こういった方ばかりなら接客も楽で良いですねぇ。
「ではもう腕にはめて行かれます?」
「そうだね、箱も要らないわ」
「では、このままどうぞ」(楽で良いわぁ)
「ところでこのカレンダーが”29日”になってるけど何故?」
「ああ、それは合わせて無いだけですから。合わせておきますね」
「ちょっと!それ待ってよぉ〜」
「はっ?」
「時計屋さんでね、合っていない時計を買えると思う?」
「はっぁ〜?、いや・・合わせれば済む事ですが・・」
「何言ってるの。って事はそれ時間も合っていないの?」
「はぁ・・秒までは合っておりませんが」
「ほぉうら、そんな事、言うだろう。ダメだよそんなのは」
いったい・・・時計に対してどの様な認識・・・?
「普通は秒まで合わせている時計やさんも少ないと思おりますが・・」
「何、言ってるの。クォーツでしょう。それはおかしいよ」
「・・・・・」(って事はと陳列商品で、秒まで合っていれば良いのか?)
「では、これなどは如何でしょうか?秒まで合っておりますが」と、電波時計を差し出します。
「これなら秒までピタリと合っておりますが」
「ほんとうに?」
「ハイ、ではこれで如何?」と電話をオンフックで117番。ぴっぴっぴっぃ、ポ〜ン!
「ほんとだ!ピッタシだね、これたまたま合っていただけ?」
「とんでも御座おりません。狂わない時計ですから」
「ほう良いねぇ、では、それにしよう!もう着けていくわ」とお買いあげ。
こちらは2万円の予算が5万円になったので。
楽で良いわぁ〜!
でもそのお方、電波時計が無ければ購入出来る時計が無かったのでは・・・・
一気読み次は「早くして!」 へ。