霊柩車

12月17日 「霊柩車」(ちょっと長い話ですm(..)m)

14日に訃報が入り。15日が「通夜」で16日が「葬式」、父の弟の嫁さんですが、医師の手当ても虚しく逝去。
亡くなるには早すぎた年齢でした。 わたしの叔父さんの奥さんです。叔父さんも叔母さんも夫婦で長くわたしの父の店に勤めていましたのでぼくも小さい頃は、いつも家に居た方なので感慨深く・・
もっとも、もう15年くらい前には退職はされていました。 私の場合は父が健在ですから通夜も式だけに参列すれば良いか?なんて呑気に15日はお休みだったので10時まで寝てから散髪に。

散髪をしてると叔父さんから電話が入ります。

「お前今、何してるんや?」
「散髪ですわ」
「何やそれ、早く来てくれんかいな。納棺に若い手が居るしお前の役目多いぞ! 」
お子様が居られないので当然でしたね(;^_^A

って、ことで散髪もそこそこに親父も積んで飛んで行きます。県内でも山手の田舎町。久しぶりに車を走らす田舎の光景ですが変わりようにビックリ!

そして、 到着。
喪服を着た親族が勢揃い。やばぁ!家に上がればもう死に装束をまとった仏さまが・・(何という変わり果てた姿に・・・絶句)手を合わせていると、横から叔父さんが

「お前それは後で良いから霊柩車取ってきてくれ。お前が戻るの待って、それから納棺するからな」
霊柩車?!!なんじゃそれ?

なんでも町の葬儀場ですが”焼場”も一緒になっております。この町の決まりで、家からの出棺は、家の者が葬儀場まで霊柩車を取りに行って葬儀場まで運ぶ様になっているそうです。

ボクが行くまでは誰が取りに行って、誰が葬儀場まで運転するのか?譲り合って話がまとまらなかったらしいですね。そりゃ”仏さん”を乗せて運転する訳ですから、事故でも起こせば大問題。皆、年寄りばかりですから、そんな大役は遠慮したいのが本音でしょう。

とにかくはメンバー的に私が行くしか無さそうです。知らない田舎町ですから葬儀場が何処にあるのかさえ?? 大体の道を聞いて自分の車で走ること20分。
葬儀場到着。霊柩車が3台葬儀場の前でスタンバイされております。ん〜最近、救急車もよく走っているが今日は3人も亡くなったのか・・

操作の説明を聞いて、自分の車は置いて霊柩車に乗り換えます。ところが、霊柩車は”マナー上”走ってはいけない道があるらしく行きとは違う道を走るので帰り道が分からなくなります。

納棺の時間も迫るし迷ってる場合ではないですから。え〜い、仕方がないわ!と、自転車で走っているお姉さんの後ろから、車を寄せながら助手席の窓を開けます。

「すみませぇ〜ん!国道に出る道はどちらに曲がるのですか?」

「はっ!?」とこちらを振り向いて。お姉さん(・・;ノ)ノ。

自転車から落ちそうでしたね。
なんたって霊柩車が寄ってきて道を尋ねる訳ですから。(;^_^A

それからすれ違う人皆、振り返りますね。ベンツより目立ちますよ!納棺の時間が・・と、焦りますが、そこは霊柩車です。いくら”仏さん”がまだ乗っていないとはゆえ。猛スピードで 「キキッ〜!」とコーナーを曲がる訳には行きません。そろ〜っと。焦ります。

携帯片手に”遅れるかも?”と話ながら運転していると県道に出る交差点でお巡りさんが、こちらをじっと睨んでおります。 どうやらシートベルトと携帯使用での運転を取り締まりしていた様です。

やばぁ〜!と慌てますが逆に”おじぎ”をされましたね。 (^_-)-☆
ええわぁ〜。霊柩車!何でもOKかいな。

やっと叔父さん宅に戻って来ますが、家の門前まで入って行く道は狭いし、車はデカイ!広い道から狭い道へ。普通の車なら簡単に入る事が出来る道ですが霊柩車は長いのです。切り返して何とか曲がると、向こうからプロパンを積んだ小型トラックが。
常識的には長い距離を走ってきたトラックを優先してこちらがバックして譲るのが筋ですが・・・

こちらは霊柩車です。後ろなんて見えません。狭い道でバックして物損事故やってる場合じゃ無いぞぉ。と思っているとトラックがビックリして、長い距離をバックして行きました(;^_^A

霊柩車を何とか家の門に通じる、さらに狭い道に入れます。

それから納棺の手伝いと出棺ですが、玄関から遺体を出す訳には行きませんから、座敷から庭を通って門からの出棺です。池もあるしと、出棺に邪魔に成りそうな枝をノコギリで切っていきます。叔父さん
「あ〜あ、高い植木を遠慮無しに切ってくれるは」そんな事、言ってる場合かい!

やっと霊柩車に積んで出発です。叔父さんは、叔母さんの遺影を胸に助手席に。

近所の方が大勢、見送る中親族の車数台引き連れて出発!
高々にクラクション「パァ〜〜ン!!」

さぁ、今度は”仏さん”が乗っておりますから運転も緊張します。国道に出る為に狭い道から広い道に出ます。霊柩車で後ろが長いですから後輪が角まで来るのを待って大回りです。ところが。
そこには駐車された車が!
うっ!曲がりきれない。どぉ〜しようかと。迷っていると、叔父さん

「何してるねん、早く切り返さんかい」

「そんな事言ってもバックしては行けないでしょう?」おじさん助手席から

「あのな”花嫁”積んでる積もりか?」
それもそうですね(;^_^A

それからの車中。
「久しぶりやなぁ、元気してるか?」と世間話。
そんな状況じゃないですが、まぁ喋ってないと涙が溢れるのでしょう。

走ること20分、葬儀場に到着。
霊柩車から降りて、ふと後ろを見ると後続車が居ない?まぁ、しばらく待つか!とその間に緊張したので小用に。僅か2分ほどですが出てきたら霊柩車のハッチが開いて棺桶が無い!

え〜!盗まれた?まさか?と横をみると年寄りがもはや担ぎ込んでおります。
「こら!若いの。肝心な時に何処に行ってるや!」
と、お叱りを受けました(;^_^A年寄りと言っても素早いわ。

それから通夜までは、和やかな雰囲気で久しぶりに集まった親族で笑みもこぼれて談笑。通夜が始まればまたテンションが下がってお開き。

翌日は無事に葬儀も済んで「骨上げ」を待っていると突然の雨が降り出しました。

骨上げが予定よりも30分遅れて始まります。何でも叔母ちゃんかなり肥えていたので時間が掛かったとか。

納骨場に入って骨が運ばれてきます。係員の方が
「ちょっと、お肥えになっていましたので遅くなって申し訳ござおりません。」と言われると。
叔父さん
「 申し訳ござおりません。」謝る事ではないでしょう(;^_^A

「え〜、ご覧の様にかなり痩せておりますが・・最近お歩きになっていない為と思われます」と係員。
叔父さん
「いえいえ、痩せて何て飛んでも御座おりません。肥えていましたから」

皆、笑うに笑えず・・・
叔父さん流石に奥さんの遺骨が出てきてかなり動転されてますね。

無事。骨上げも済んで表に出ると先ほどの雨が嘘のように晴れ渡っていました。
表には本日分の霊柩車が2台止めてありました。

遠路のお年寄りを送るために、今から2時間のドライブと葬儀場の門を出ると向かいの山には大きな”虹”が!何年ぶりに見ただろうか・・・虹なんて。

葬儀の話ですから落ちはないですが「霊柩車を運転」といった貴重な体験をした2日間でしたm(..)m

雑文一気読み次は「冬ソナとカニ?」へ。

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