オークション7話

まだCooの腕時計開設など心にも無い2000年です。

こちら2000年時点での店の売り上げは既に”損益分岐点売上げを30万下回っている状態でした。ご商売をされて居ない方には分かりにくいですが、これつまり簡単に言ってしまえば毎月30万の蓄えが消えていくわけで、たまりません。

だから廃業な訳ですが。良く大きな企業が”今期の決算10億円の赤字”とか聞きますよね。これ分かりやすく言えば1年で10億円、蓄えを食い潰したと言う意味なんです。商売である限り私の様な個人であれ大企業であれ基本は同じです。分岐点売上げに達しなければ、足りない分食いつぶしている事で、商売が成り立ちません。最近”再生法適用”とか聞きますよね。なぜこうなるのかと言えば、蓄えがある間は食いつぶせます。それが無ければ土地などを担保に銀行から借り入れを起こす訳です。

その資金を利用して改修するところはして損益分岐点売上げを超える様に努力する訳です。勿論、会社は社員に給料も払って行かなければ成りません。これを一般的には”融資”と言おります。もし、それで売り上げが回復出来なければ、それは借入金が返せなくなります。同じ借り入れでも増益が見込めない、ただ食い潰して減ったからと言う融資は”先送り型”と言おります。先送り型融資の繰り返しの最終点が再生法適用となります。ただし、これは大企業の話であって個人商店なら”破産宣告”ですね。

私の場合でも更に融資を受けて努力することも可能です。でも破産宣告はしたくありませんから”廃業の決意”となります。実際には企業と言う所は、前向きな事しか言えない雰囲気の会社はまだ多いです、特に老舗企業ほど。よって先送り型融資を繰り返して居るところは、まだまだ多いでしょう。

その先送り金額が莫大な所のみ銀行が調査して、不良債権処理として”再生機構”が誕生した訳です。

私は組織では無く一人ですから、言えない雰囲気も何もなく自分の店の状況と体力から判断した結果、恐らく先送り型になるであろう融資を受けてまでの継続は無意味と感じたのでした。もっとも当時、健常者並の体力(今の体力)があれば、かえって閉める勇気もなく先送り型融資を受けていたかも知れないですから、病気と言うものは何もマイナス面だけでは無いことも学びました。

しかし、この時点で廃業を撤回した訳ですから残った道は一つ!分岐点売上げの回復。これのみ。落ち込み分をオークションでカバー出来ると踏んでの、とんでもない決断を自分に下した事になります。

1995年、あの阪神淡路大震災の翌年、店の修復と長期療養で落ち込んだ売り上げの普及に銀行から融資を受けた残金が、この年で終わります。銀行さんは”追加融資”を勧めてきますが売り上げの回復要素が無い限り”先送り型”になるのは明らか、よって断って来た事情もあります。

半年様子をみて売れないなら廃業。売上げアップが見込めるなら融資即決です。半年で結果が出せなければ「廃業」しかありません、私には期限は待ったなしで迫ります。

話が逸れましたが。さて後日、その海外モデルなる物が届きます。

商品を見て感じたのは、やはり海外規格の仕上げですから少し荒い感じがしました。

でも・・・「行ける!」

この重量感と質感。それにメカウォッチです。同じレベルの表面仕上げが綺麗な国内モデルの定価なら32.000円〜38.000円といったところか・・・国内(特にネット)では3割引が当たり前。

つまり23.000円〜26.000円では誰しも国内モデルを買うだろう。となれば15.000円なら買い得だろうと。カーブガラス・サファイアガラスが入れば19.000円では売れる。

中には”とにかくは自動巻”ってレベルの安い物も同梱されていました。

問題は値段と売り方だなと。しょぼい写真掲載で1円スタートすれば3000円くらいで終了する商品だろう。さぁ!オリエントいくらで卸す?

早速メーカーさんに電話です。

オークション8話へと

このオークション話は、ある一通のメールから始まった・・

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