腕時計の修理道具

腕時計の分解掃除に使う洗浄機/2004年7月(記述)

腕時計の修理に使う器械の紹介です。
私は持っていない機械ですから今まで紹介出来なかったわけですが。
先日、偶然材料屋さんでパンフレットを見つけたので撮影させて貰いました。

この機械は”超音波洗浄機”ですが「腕時計の部品洗い専用」です。
もうこの機械を設置してまで腕時計の修理をしている所は少ないと思おります。
材料屋さんによると私が住んでいる姫路市でも腕時計の分解掃除をする
職人さんはまだ10人くらいは居ますが。
この機械を使ってまで修理する人は無いでしょうと言う事でした。

内部はこうなっていまして中央の篭の中に分解した部品を入れてスイッチON。
左に見えるガラスの水槽(3〜4漕)の中へ移動して洗浄する訳です。
このガラスの水槽の中には水と洗剤ではなく”揮発”という油が入っております。
よってものすごい匂いがしますから、
こういった機械の中に納める事で換気しながら使う訳です。

そういえば昔、私の父も使っておりましたが。
これで洗ったパーツはほんとピッカピカになります。
ただ当時(昭和50年頃)では、洗浄層むき出しの機械しかなく、
これが動き出すと子供心にも”この匂いをかいだら病気になるんじゃないか?”
と思った程強烈な匂いでした。

その後、こういったカバー付きで換気機能が付いたものが標準になって行った訳です。

これがパンフレットの解説。まず値段は「885.000円」です。
高い物は100万円の物もあります。この機械が発売された頃。
親父にとって店ではもうクォーツの時代になっており。
機械時計を修理してしてまで使う方は激減した頃。
その頃に匂いがしない換気機能付きとはゆえ、
これから無くなるであろう修理の為に80万円も出して購入する気になるか?。

この機械、購入するにはかなりの数の修理依頼がなければ採算が取れない事が分かります。
一ヶ月に10個くらいのOHをやってる所が購入しても経費倒れになる金額です。

横幅40cm、高さ56cmですから結構な大きさです。
狭い机の上に置けるような代物ではありません。
上の写真は”ステンレスのネットで出来た皿”が5枚積み重ねて一つになります。

次に。

これが本物の”ワインディングマシーン”です。
取りつけられた腕時計と大きさを比べれば分かりやすいですが、
扇風機の羽よりも大きなサイズです。

職人さんの仕事場に行けばこれが壁に2機、取りつけられております。
左は1分間に1回転。右は1分間で4回転。

 

机の上に設置するタイプもあります。
このテスターですが扇風機の羽根の様に回るだけでは無く、
腕時計を取り付けるシャフト(写真では6本)も360°
回転しながら扇風機の羽根の様にも回る訳です。(1分かけてゆっくりと)

65.000円ですから、これも”いつもOHする腕時計が4・5個は溜まってる店”
でなければ経費倒れです。
でもこの価格なら腕時計マニアの方なら自宅の壁にこれが取りつけてあれば、
それっぽくて格好が良いかも知れないです。
市販のワインディングマシーンみたいに華奢ではないですよ。

そしてこれが”防水試験器”。
これで95.000円ですから私などが買っても経費倒れになります。
これを買えば間違いなく電池交換の料金は値上げになります。

こういうタイプもありますが、いずれも10気圧までしか測る事は出来ません。

200m防水の試験器ともなれば、597.000円ですか。

私が依頼している職人さんも、ここまでの機械は持っておりません。

200m表記の腕時計をお持ちの方。
簡単に「電池交換のみで良いですから」なんて言わないでください。
時計屋は200m防水の腕時計が持ち込まれた瞬間、
この機械での防水試験の様子が頭に浮かんでいる訳で。
これしか方法は無いと思ってます。

私の場合は「ならば一切の試験を無しにすれば?」という事で
防水時計のお預かりを可能にしております。

腕時計修理質問集トップに戻る。 2017.7.8修正