腕時計修理の質問集/ワインディングマシーンは必要?2
私が思うワインディングマシーンの使い方/2004年7月(記述)
最近ネットではワインディングマシーンが結構売れているようです。
それにつれ使い方の質問がよくあります。
これは以前にも「よくある質問」の所でも触れましたが
自動巻腕時計はワインディングマシーンが必要?←参考。
ワインディングマシーンは常に正常な時間を刻ませる目的の機械では無いです。
自動巻を手巻き機構を使って巻くよりも。また自動巻を手で強烈に振って巻くよりも。
ゆっくりとしたローターの動きで巻き上げる方が時計に優しいから使用する機械です。
”優しく巻き上げる為の機械”と捉えてください。
大事な事は機械時計は常に動かしておけば”時計の精度を保つ事が出来る”
という誤解です。
常に動かして正常動作させて。時計を2年に1度、3〜4万の修理費を出して
定期メンテナンスとしてOHする積もりなら納得は出来ます。
(高額なムーブメントに限る)
例えば機械時計を”土日しか腕に着けない”とします。
そして、常に動かしておくという意味で腕に付けて使用しない
5日間をワインディングマシーン上で常に作動させるとしましょう。
腕時計は、週の大半をワインディングマシーンで動作する癖が付きます。
するとワインディングマシーン上では正確に時間を刻みますが、
腕に着けた時には誤差が大きくなったりします。
また腕に着けるという事は「36.5°体温環境です」。
やはり大半を腕に着けてムーブメントに自分の癖を掴んで貰うことが大事です。
例えば、ワインディングマシーン上で正確なのに、腕に着けたら遅れると
OHに持ち込まれます。
職人さんは検定機に掛けると正常なデータが上がって来ます。
でも依頼は「1日30秒遅れる」と言われれば”進む様に調整”するしかありません。
今度は腕に着ければ正常ですが、ワインディングマシーンにセットすれば進んだりします。
逆もありえます。腕につければ正常に動くのに、
ワインディングマシーン上で遅れているのでOHに出してしまう場合もあり得ます。
よって腕に着けても、ワインディングマシーン上でも同じ精度を保つ。
そういう発想は現実的ではありません。
「週末しか自動巻時計を使わない方へ」 使わない日は腕時計をワインディングマシーンにセットしたままでOKです。 それだけの巻き上げで、腕時計が4・5時間動いて勝手に止まっております。 |
月曜〜木曜まで同じ事を繰り返します。 金曜は、朝出勤前にスイッチON。 そして土日と腕に着けて精度の様子をみます。 |
ここで何故、
4・5時間の動作で時間を合わせないかです。
手巻き時計で無い限り、腕時計という物は竜頭を頻繁に触る事を前提で作られていない。
ロレックスでさえ、あのねじ込み竜頭を緩めて、手で巻いて見れば分かりますが、
かなりグラグラ(上下に竜芯がたわむ感覚が)します。
手で巻くときは竜芯を上下左右に振れないように巻きますね。
つまり基本は手で巻かない事が前提です。
本来自動巻は毎日時計を使っていれば時計が止まる事がありません。
朝、時間の誤差分のみ竜頭を2段引きして誤差分(針を1・2分だけ動かす)を修正。
分かりますか?竜頭の動きが極めて少ない事が。これが正しい使い方と思おります。
「私の自動巻使用の実態」 私はワインディングマシーンを持っておりません。必要性を感じないからです。 何度かやればコツが掴めますが。 ※ このローターが2・3回転するくらいの感覚で5回繰り返します。 これで30分くらいは運針します。でも時間は合わせません。 1日、自動巻を使う時は、この”一本締め要領” で そして、夜に誤差の確認。日差1分くらいは気にしません。 それで自分の腕に着けて誤差が出る場合のみOHして貰おります。 毎日使うわけでは無いのでOHは滅多にしません。 定期的なメンテナンスをしない理由。 個人的には自動巻のハック機能(秒針停止装置)は邪道と思っております。 |
腕時計修理の質問集トップに戻る 2017.7.12修正