腕時計修理の質問集/セイコータイプ2の裏蓋

裏蓋の凹みはキズ?/2004年7月(記述)

Cooの腕時計掲示板で”タイプUさんからの質問です。

Cooさん、おはようござおります。
写真つきで、質問します。
時計は、セイコークオーツタイプUの
アラビア文字タイプ。
型番は、7546−7010です。
裏蓋は、はめ込みタイプ。
★オークションで手に入れたのですが、裏蓋の左上に、 「穴?のような物があります。」欠けているのか?よくわかりません。
元の持ち主にも、聞いても、知らなかったことです。
★時計はちゃんと動いております。
 防水はどうですかね?
 すみません、良いアドバイスを下さい。
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と言うことで、届いた写真は。

2枚目写真が金色に見えますが銀色です。
ガラスが風防のタイプ2のようですから、かなり初期のモデルですね。
問題の”欠け”と’いうのは。

これです。

元の持ち主の方も”欠けてる”と聞かれたらびっくりしたと思おりますが。
おそらく長く使ってもこの事を知ってる方も少ないでしょう。さて回答ですが。

これは何かと言えば”裏蓋の合わせ位置”です。
この頃のタイプ2とそれ以前のセイコーの腕時計に多かったものです。
これ裏蓋は3時側から開けるタイプと思おりますが。1
時位置にこの”欠け?”があります。
裏蓋を外してみれば分かりますが、その部分のみ”凹み”があります。
そして裏蓋を外せば、その位置のケース側に”・”があります。
つまり、裏蓋を閉める時にケース側の「・」と裏蓋側の「凹」を合わせる。
といった意味です。

「それだけか!」と思われるでしょうが。
ところが!これ開けてみれば分かりますが、その位置を合わせなければ、
いけない構造でも無い物が多いのです。
では何故、わざわざこのマークがあるのか?

これは以前のモデルは裏蓋を裏返すと裏蓋の裏側に電池が収まるスペースが丸く
えぐってありました。(電池の形と大きさに凹んでいる)
つまり、その位置を合わせないと裏蓋が閉まらなかったのです。
なるべく腕時計を薄くする為の工夫ですね。
それまでは”SR44SW”の分厚い電池が主だったからです。
でもタイプ発売の中頃から”SR43SW”の薄い電池
(今では分厚い電池ですが)が出てきましたので
裏蓋の内側をえぐる必要が無くなったのです。

おそらくは、セイコーさんは、そのために鋳型まで作り替えるのは
ムダですから電池格納部の凹みだけ無くして
”合わせ位置”があっても問題は無いのではそのまま製造を続けたのでしょう。
よってタイプ2後期のモデルには、それは無かった思おります。
ぼくも最初は開けてビックリでした。
よって防水性には問題も無しですね。

この「よくある質問」コーナーの
KING QUARTZ4823-8000などを見て頂けましたら分かりやすいでしょう。

腕時計修理の質問集トップに戻る 2017.7.12修正